野菜ソムリエ通信メルマガ vol.12|2021.12

野菜・果物のゲンバからfile-12

野菜ソムリエ的
全国お雑煮マップ2021

修了生向けメルマガ等にて、「わが家のお雑煮」情報を募集したところ、
全国の野菜ソムリエさんから145件ものご回答が寄せられました。

様々なものを煮合わせる「煮雑ぜ(にまぜ)」が、お雑煮の語源。
具材に定義はなく、お椀の中の食材はじつに多岐に渡っています。
目を凝らすと食文化やルーツまでもが垣間見られるように感じます。

野菜ソムリエ的 わが家のお雑煮

まずは、野菜ソムリエの皆さんからいただいた回答書をもとに
お餅の種類と味のベースをマッピングしてみました。

【お餅の種類】

大まかに分けると、「東日本は角餅」、「西日本は丸餅」の傾向があります。
香川県、高知県、山口県、大分県では、「あんこ入りの丸餅」。
角餅と丸餅のミックスエリアは、家族のルーツも影響しているようです。

【味のベース】

関西エリアは「白味噌」が主流で、一部で「赤味噌」「麦味噌」「田舎味噌」も。
島根県、鳥取県、静岡県では、甘い「ぜんざい」がお雑煮という方もいました。
全国的に見ると、「醤油」ベースのすまし汁が大多数のようです。

【餅の調理】

焼き網やオーブントースターなどで「焼いて入れる」派が圧倒的多数で、
「茹でる」「煮る」「レンチン」「そのまま入れる」方は少数派でした。
しかし、富山県、石川県、福井県はほとんどの方が「茹でる」か「煮る」派。
富山県と石川県は角餅・醤油ベース、福井県は丸餅・味噌ベースと分かれますが
餅は焼かないという共通点にある背景が気になるところです。

【だし】

「昆布」や「かつお節」、その「合わせだし」を使っている方が多数でした。
他に、「いりこ(煮干し)」「あご」「干し椎茸」を使っている方もいました。
地域性を感じるだしとしては、秋田県や青森県で主流の「鶏がらだし」、
青森県の特産品「焼き干し(イワシ)」や「ごぼう」のだし、
宮城県は「焼きハゼ」「焼きアイナメ」、新潟県は「干し貝柱」、
静岡県の「イワシの削り粉」、高知県の「じゃこ」、佐賀県の「牛肉だし」、
佐賀県と熊本県の「するめ」、鹿児島県の「焼きえび」などが特徴的です。

【具材】

●:多くの家で使う、◯:一部の家で使う、太字:多くの家で使う

※表を左右にスクロールしてご覧下さい。

みつば せり ねぎ 大根 人参 里芋 ごぼう 椎茸 小松菜 その他の野菜 野菜以外 特記事項
北海道 たけのこ 角餅/鶏肉、なると、焼きちくわ、イクラ、
生麩、豚肉(うま煮の一部)等
家ごとで大きく異なる
青森県 根曲竹(たけのこ)等 角餅/鶏肉、かまぼこ、なると、高野豆腐、
油揚げ等
一町田せり(伝統野菜)
岩手県 角餅/鶏もも肉、伊達巻、イクラ
、凍み豆腐、かまぼこ等
別椀でくるみだれ
宮城県 芋がら 角餅/イクラ、凍み豆腐、なると、
糸こんにゃく
仙台せり(伝統野菜)、ひき菜
秋田県 舞茸 角餅/鶏もも肉、
鶏の内臓(きんかん)
せりの根も入れる
山形県 ぜんまい 丸餅/こんにゃく、牛肉
(地域によっては鶏肉)
堀込せり(伝統野菜)
福島県
茨城県 ほうれん草、玉ねぎ、ゆず 角餅(一部丸餅)/鶏肉なると
かまぼこ、油揚げ、鴨肉、イクラ
畑にある野菜を入れることが多い
栃木県 ほうれん草、たけのこ 角餅/鶏肉、なると、かまぼこ、イクラ けんちん汁のような具沢山雑煮
群馬県 ほうれん草、ゆず 角餅/鶏肉、かまぼこ
埼玉県 ゆず 角餅/鶏肉、イクラ、海老、栗、伊達巻
千葉県 ゆず 角餅/鶏肉、豚肉、花麩、はばのり はばのり
東京都 ほうれん草、かき菜、かぶ、ゆず 角餅(一部丸餅)/鶏肉かまぼこ、なると、
イクラ、こんにゃく、豆腐
様々なルーツがミックス
神奈川県 角餅/鶏肉、かまぼこ、のり 小松菜
みつば せり ねぎ 大根 人参 里芋 ごぼう 椎茸 小松菜 その他の野菜 野菜以外 特記事項
新潟県 たけのこ 角餅/茹でたイクラ、鮭、かまぼこ、
こんにゃく、鶏肉、ちくわ
干し貝柱のだし
富山県 ほうれん草、餅菜、蓮根、ゆず 角餅(一部丸餅)/鶏肉、巻きかまぼこ、油揚げ、
こんにゃく、ブリ、イクラ、焼豆腐、厚揚げ、
うす揚げ、結び昆布、のり、甘海老、すり身、
なると、飾り麩
海の幸が満載
石川県 ほうれん草 角餅/かまぼこ、かつお節 シンプルなすまし雑煮
福井県 かぶ 丸餅/かつお節、焼きのり、とろろ昆布 シンプルな味噌雑煮
山梨県 白菜、ほうれん草、 角餅/鶏肉かまぼこ 醤油ベースが基本。時々味噌にする人も。
長野県 白菜、きのこ類、松茸、さやいんげん、
玉ねぎ、ゆず
角餅/鶏肉、かまぼこ、海老、油揚げ、
ブリ、なると、厚揚げ
いろいろなきのこ
岐阜県 餅菜(正月菜) 角餅/豆腐かまぼこ花かつお
油揚げ、かしわ
正月菜
静岡県 水菜(京菜)、ほうれん草、白菜、ゆず 角餅(一部丸餅)/鶏肉かまぼこ、かつお節、
豚肉、ワカメ、青のり、あおさ、生のり、
焼きのり、飾り麩、ブリ、海老、ちくわ
いろいろな海苔
小豆 角餅 ぜんざい
愛知県 白菜、ほうれん草、キノコ類 角餅/かまぼこ
三重県 餅菜、雑煮大根 丸餅又は角餅/鶏肉、揚げ、豆腐、かつお節 細い雑煮大根を使用。
北部はおすまし、南部は白味噌
滋賀県 丸餅/かまぼこ
京都府 かしら芋 丸餅
大阪府 雑煮大根金時人参 丸餅/豆腐 細い雑煮大根を使用。豆腐以外は丸く切る
兵庫県 ほうれん草 丸餅/ブリ、数の子、かまぼこ、かつお節 丸餅と醤油味の組み合わせ
奈良県 金時人参、祝大根 丸餅 祝大根(奈良の伝統野菜)
和歌山県 金時人参、真菜 丸餅 真菜(まな)
みつば せり ねぎ 大根 人参 里芋 ごぼう 椎茸 小松菜 その他の野菜 野菜以外 特記事項
鳥取県 小豆 丸餅 ぜんざい
丸餅/花かつお こし味噌味
京人参、ほうれん草 丸餅/飛魚ちくわ、かまぼこ、花かつお おすまし
島根県 小豆 丸餅 ぜんざい
岡山県 ほうれん草、ゆず 丸餅/塩ブリ、かまぼこ、かつお節、もみのり 人参・大根は丸く切る
広島県 ゆず 丸餅/白焼きの穴子 穴子は小口切り、人参・大根は短冊切り
山口県 白菜 あんこ入りの丸餅/かまぼこ
徳島県 白菜、ほうれん草、ゆず 丸餅/かまぼこ、豆腐、油揚げ 白味噌、赤味噌、おすましが混在
香川県 金時人参小さめの大根 あんこ入りの丸餅/青のり、糸かつお節 人参と大根は輪切り
愛媛県 かぶ、ほうれん草、水菜 丸餅/鶏肉、又は松山揚げ、海老、蟹、牡蠣など 松山揚げ
高知県 青ねぎ あんこ入りの丸餅
紅白の角餅(たかきび餅と白い餅)
福岡県 博多かつお菜 丸餅/鶏肉、海老 博多かつお菜
佐賀県 かつお菜、ほうれん草、えのき、ゆず 丸餅(一部角餅)/牛肉、かまぼこ、するめ かつお菜
長崎県 唐人菜又は白菜、ゆりね、銀杏 丸餅/鶏肉、ブリ、かまぼこ 唐人菜
熊本県 丸餅/馬肉、昆布、するめ、ちくわ、かまぼこ 砂糖入りの納豆だれ
大分県 白菜、ほうれん草又は水菜等 丸餅(一部あんこ入り)/鶏肉、海老、
かまぼこ、イクラ
宮崎県
鹿児島県 青菜(小松菜、ほうれん草、春菊等)、
豆もやし、ゆず
丸餅/焼き海老、かまぼこ
沖縄県 島大根、島人参、高菜 角餅/豚ソーキ(あばら骨つき肉)、昆布 沖縄伝統野菜

※あくまでも「わが家のお雑煮」ということで集めた情報です。ご回答を得られなかった地域もございます。

【ちょっと解説】

・北海道の多様性

今回寄せられたお雑煮は具材もだしも多種多様。共通項がないのが逆に特徴的でした。

・東北人の「せり」好み

青森県、秋田県、宮城県、山形県では、せりが好まれる傾向があります。青森には「一町田せり」、宮城には「仙台せり」、山形には「堀込せり」、秋田には「三関せり」など各県に伝統野菜のせりがあるのも特徴的。どれも根っこまでおいしく食べられると評判です。

・沿岸部の「のり」トッピング

千葉県の「はばのり」、神奈川県と富山県の「のり」、福井県の「焼きのり」、静岡県の「青のり、あおさ、生のり、焼きのり」、香川県の「青のり」など、沿岸部では、仕上げに「のり」をふりかけて風味よく味わうこともあるようです。

・甘いつけだれと二椀セットのお雑煮

岩手県では、別椀で甘いくるみだれを添え、お雑煮のお餅をつけて食べる風習も。熊本県でも、別椀に砂糖を混ぜた納豆を用意して、お雑煮のお餅をからめて食べる家があるそう。

・ご当地の青菜

関東では「小松菜」、中部では「餅菜(正月菜)」、関西では「真菜」、九州では「かつお菜」「唐人菜」など、地域ごとに特色のある青菜が使われています。

・丸くおさめるための細い大根

関西では「角が立たず円満に過ごせますように」と具材を丸く切る風習があります。里芋は丸いまま、金時人参は輪切りに。一般的な大根の輪切りでは大きすぎるため、細い雑煮用の大根(祝大根)が使われるそうです。

野菜ソムリエさんたちのお雑煮エピソード

岩手県盛岡市 野菜ソムリエプロ

藤原ゆかりさん

椎茸・みつば・ねぎ・鶏もも肉・伊達巻・イクラ/角餅・焼く/かつお節・昆布/醤油ベース

岩手県(盛岡市)は、お雑煮が完成したら盛りつけ時に三陸のイクラを1匙のせます。私の実家だけ?なのかはわからないのですが…お雑煮をつくり食べる習慣がありませんでした(私は岩手県の県北、葛巻出身です)。でも自宅では暮れにお餅をたくさんついてお正月中もりもり食べておりました。くるみ、ゴマ、あんこ、きな粉、納豆、砂糖醤油 etc…と自家製のたれなどをつくり好きなように食べていました。私にとっての「わが家のお雑煮の味」は、料理人の夫が毎年つくってくれるものであります。とてもおいしいです。


岩手県盛岡市

福徳絵夢(ふくとくえむ)さん

大根・人参・せり・鶏もも肉・凍み豆腐・イクラ・かまぼこ/角餅・焼く/昆布・干し椎茸/醤油ベース

出身は宮古市の内陸部です。嫁ぎ先の宮古市沿岸部のお雑煮は、お雑煮を楽しみながらお餅を取り出し、別に用意したくるみ餅用のくるみだれにつけて食べます!初めて義母に教わったときびっくりしました!時々お餅にせりがついてきたりしてビジュアル的に映えない瞬間もあるのですが(笑)。今では普通においしく食べています。


宮城県仙台市

高橋弥生さん

仙台せり・大根・人参・ごぼう・凍み豆腐・なると・糸こんにゃく・イクラ/角餅・焼く/ハゼやアイナメを焼いて干したもの/塩ベース

ひき菜といって、千切りにした大根、人参、ごぼうを予め冷凍しておき、それらを入れます(冷凍することで味がしみやすくなります)。焼きハゼでだしをとったり、仕上げにいくら(醤油漬け)や仙台せりをのせたりと、澄んだおだしと豪華な具材でお正月を感じます。


宮城県石巻市

キャサリンさん

芋がら・人参・大根・ごぼう・せり・イクラ/角餅・焼く/焼きハゼ/醤油ベース

12月になると父がハゼを釣りに行き、軽く干し焼いて、お正月の出汁をとります。


茨城県

江原典子さん

みつば・絹さや・鶏肉・なると/角餅・焼いてさっと煮る/かつお節・昆布/醤油ベース

婚家は農家だったので、醤油ベースのけんちん汁に四角の焼き餅。私の実家はすまし汁。けんちん汁では正月が来た気がしなくて、今ではすっかり関東風のあっさりしたすまし汁です。


栃木県足利市(両親の故郷)

ますだすみよさん

八つ頭・人参・大根・たけのこ・みつば・鶏肉・なると・イクラ/角餅・焼く/昆布/醤油ベース

東京生まれの増田の母のお雑煮と比べ、けんちん汁の中にお餅を入れたような具沢山お雑煮に最初主人はびっくりしていました(笑)。イクラはウチのこどもたちの大好物!小学生の頃2人で勝手にのせてました(笑)。おいしかったので、それから欠かせないアイテムになっています。


埼玉県川越市

土師智子さん

大根・人参・里芋・ごぼう・小松菜・みつば・ゆず・鶏肉・なると/角餅・焼く/かつお節/醤油ベース

先に野菜だけの雑煮をつくり神棚にお供えをしていました。家族が食べる前に鶏肉を入れるはずが、入れ忘れてさっぱりした雑煮を食べることが多かったです。


千葉県房総市

トマトが主食さん

大根・人参・椎茸・里芋(八つ頭)・せり・鶏肉・はばのり/角餅・焼く/かつお節・昆布/醤油ベース

房総半島地域の特徴だと思いますが、仕上げに「はばのり」をのせます。とても香りがよく、「はばをきかせる」との縁起からの風習です。また、ウチでは必ず「せり」を添えます。「みつば」では、なんとなく違う感じです。


千葉県富津市

ホシノワタルさん

人参・椎茸・大根・豚肉か鶏肉/角餅・レンチン/和風の顆粒だし/醤油ベース

雑煮自体には、これといった特徴なし…。でも、少し面白いのは元旦に食べる雑煮は必ず父や私など男がつくり、母や祖母は手を出しません。地域ルールなのか、わが家ルールなのか、よく考えると謎です(笑)。お餅は自家栽培の餅米なので抜群においしいです。椎茸も実家でとれた原木椎茸です。


東京都渋谷区(両親は関西出身)野菜ソムリエ上級プロ

木下かおりさん

人参(あれば金時人参)・茹でたほうれん草・鶏肉の甘辛煮/角餅・焼く/かつお節/白味噌ベース

両親が関西(京都・大阪)出身のため、もともとは丸いお餅だったようですが、関東では丸餅が手に入りづらかったため、四角いお餅を使うように変化したようです。子どもの頃、お餅はそのまま投入されていましたが、焼き目がある方が香ばしくておいしいという父の意見により、ほんのり焼き色をつけるようになりました。おめでたい日なので、金粉をちょこっとのせることもありました。


新潟県新潟市

本間健夫さん

大根・人参・ごぼう・干し椎茸・ねぎ・みつば・鮭・かまぼこ・茹でたイクラ/角餅・茹で/貝柱・干し椎茸/醤油ベース

イクラは必ず茹でます。茹でたイクラは魚の目玉のようになるので「ととまめ」と呼びます。


富山県高岡市

Yuiさん

みつば・5ミリ幅ぐらいの昆布を結んだもの・かまぼこ/角餅・煮る/昆布/醤油ベース

高岡は、隣県石川の武家文化の影響を強く受けています。金沢出身の私の実家では、具は野ぜりと結んだ昆布だけでした。高岡に来て驚いたのは、お雑煮がとても似ていること。具は他に鶏肉を入れる家庭もありますが、だいたい同じような質素なものです。


富山県富山市

あやこさん

具なし/丸餅・煮る/昆布・かつお節/白味噌ベース

京都の実家のお雑煮です。さらに母方の実家が福井県大飯郡高浜町で、そこのお雑煮だと思います。祖父はこのお雑煮の上から砂糖を入れていました。


石川県金沢市

レイコさん

みつば・かまぼこ/角餅・煮る/かつお節/醤油ベース

金沢のお雑煮はシンプル。普段は市販の粉末のだしを使う母が、お雑煮の時だけはかつお節を使いますが、かつお節を削るのは元旦の朝、父の役割でした。かつお節のだしの香りはお正月の思い出です。


福井県坂井市

おけいさん

かぶ・かつお節/丸餅・煮る/昆布/田舎味噌ベース

福井県は、シンプルに食べる習慣があります。場所によっては、お餅のみのところもあるので、日本で一番地味なお雑煮だと思っています。お正月に限らず、年中食べる方もいらっしゃるくらいに身近な料理です。


長野県上伊那郡宮田村(出身地)

川合 泉さん

【お正月】松茸・人参・みつば・ゆず・海老・鶏のささみ、【冬休みの夕ご飯】大根、人参、玉ねぎ、きのこ類、他、家にある野菜何でも・鶏肉又は油揚げ/角餅・焼く/昆布・かつお節/醤油ベース(お吸い物感覚)

当然のことながらお正月にはフレッシュの松茸はありません。幸運にも秋に入手できたものをスライスして大切に冷凍しておき、お正月に使う、というのが実家のお雑煮でした。年末に村のお菓子屋さんがついた「のしもち」を買うので、お餅は山ほどあり、元旦以外は夕ご飯としてお雑煮をよく食べました。


長野県塩尻市

茶々丸さん

大根・人参・ごぼう等・ブリ・なると/角餅・焼く/かつお節・昆布/薄口醤油ベース

わが家はずっと「鶏肉」の雑煮でしたが、結婚を機に塩尻市に住むようになり、ブリが入った雑煮の存在を知りました。この地域ではお年とりにブリを食べることから、お雑煮にも使われているそうです。


三重県伊賀市

中澤真規さん

雑煮用細大根・金時人参・里芋(小芋)・豆腐/丸餅(手のひらで平たく押した花びら餅)・焼く/かつお節/醤油ベース

同伊賀市内の実家は白味噌ベースで金時人参は入れずです。伊賀は東海圏でありながら、京都・奈良・滋賀に隣接し、関西の影響も受けている地域で、おおよそ北部はすまし汁、南部は白味噌と混在しているようです。(結婚後、同じ伊賀市内なのに、味つけが違っていて驚きました)


鳥取県鳥取市河原町

せっきーさん

花かつお/丸餅・茹で/かつお節/味噌ベース

実家のお雑煮です。自家製味噌を晒し布でこした「こし味噌」を使います。お醤油味のようにも見える、風味のよい琥珀色のおだしになります。これに茹でたお餅を入れ、花かつおをたっぷりと天盛りします。花かつおとお餅以外の具材は一切無しです。このお雑煮は、わが家(実家)だけのようです。近所も「小豆の甘いお雑煮」のようですし、親戚も含め、他では聞いたことがありません。嫁ぎ先は鳥取県米子市ですが、こちらも「小豆雑煮」、一般的に「ぜんざい」と呼ばれているお雑煮です。お正月に実家で「こし味噌のお雑煮」を食べるのが毎年の楽しみです。


鳥取県

井上照美さん

ごぼう・京人参・ほうれん草・飛魚ちくわ・かまぼこ(赤・白)・花かつお/自家製の丸餅・湯がく/昆布・かつお節/薄口醤油ベース

鳥取県は小豆を甘く炊いたぜんざいの雑煮ですが、わが家は岡山県出身でおすましです。花かつおで二番だしもきき、最高においしいです。八頭郡では、田舎味噌で少量の濃い味噌汁の中に茹でたお餅を一つ入れ、削りかつおをかけていただきます。これも自家製味噌を使います。


岡山県岡山市

香川美和さん

人参・大根・ほうれん草・ゆず・塩ブリ・紅白かまぼこ・かつお節・もみのり/丸餅・茹で/かつお節・昆布/醤油ベース

縁起物なので、人参・大根は3mm程の厚さで丸く(断面そのままに)スライスします。


山口県

西川満希子さん

白菜・ねぎ・かまぼこ/あんこ入りの丸餅・煮る/いりこ/麦味噌

あんこ餅と今年も一年幸せでありますようにの気持ちを込めて、「幸福」のヤサイコトバのある白菜を使用します。


熊本県熊本市北区植木町

宮本好美さん

里芋・ごぼう・大根・人参・ねぎ・馬肉・昆布・するめ・椎茸・ちくわ・かまぼこ/丸餅・雑煮の中で茹でる/昆布・するめ・椎茸/醤油ベース

納豆に砂糖を混ぜたものをお椀に用意しておき、お雑煮の餅をからめて食べます。熊本県でも珍しいお雑煮です(実家はあっさり鶏肉に白菜です)。わが家は家族全員、このお雑煮が大好きで、お正月以外でも『食べたいコール』が起こるので、よくつくります。


大分県大分市

くまちゃんさん

大根・人参・白菜・椎茸・鶏肉・海老・かまぼこ/丸餅・焼く/昆布/薄口醤油ベース

大分のお雑煮は、白みそや薄口醤油仕立てが多いですが、国東半島のエリアでは、甘口醤油仕立てで、中に入れる餅もあん餅なのが特徴です。


大分県大分市

ブランさん

大根・人参・椎茸・みつば・鶏肉・イクラ/丸餅・焼く/昆布・鶏がら/醤油ベース

大根と人参は千切りして、半分はだしと煮込み。お椀に汁を入れてから焼き餅を入れ、大根と人参(生野菜なのでシャキシャキしておいしい!)、イクラ、みつばを盛りつける。


鹿児島県鹿児島市

いちご一絵さん

青葉(小松菜・ホウレンソウ・春菊など)・豆もやし・干し椎茸・ゆず・焼き海老・紅のかまぼこ/丸餅・焼く/焼き海老・干し椎茸・昆布/醤油ベース

鹿児島県は錦江湾を挟んで、薩摩半島と大隅半島に分かれる形です。大隅半島の嫁ぎ先のお雑煮は、焼き海老と干し椎茸でだしをとり、それらが具材にもなることが特徴です。亡義母から受け継いだものになります。私の実家は薩摩半島にあり、焼き海老と干し椎茸でだしをとるのは同じですが、餅は入らず、ゆで卵の半割が入り、豆もやしも入りません。私の親族だけかもしれませんが、同じ県内でも地域によって違うことを結婚して初めて知りました。現在、私は薩摩半島に住んでおりますが、嫁ぎ先の亡義母から伝授したお雑煮で、わが家はお正月を迎えております。

野菜ソムリエさんちのお雑煮コレクション

埼玉県富士見市

柴田妙子さん

具は、人参、小松菜、椎茸、みつば、栗、鶏肉、イクラ、海老、角餅です。

東京都(母埼玉×父栃木習合)

若林牧子さん

父母の習合型お雑煮を受け継いでいます。野菜の「拍子切り」は父のこだわり。「イクラ」をのせて華やかにします。

東京都

大内 優紀枝さん

去年は、シンプルな醤油の雑煮に人参・クレソン・海老天を プラストッピングしました。

神奈川県

小島香住さん

仕上げにかつお節をかける!(義母の出身地名古屋風のお雑煮です)

富山県富山市

サイコロさん

白味噌の日、塩+薄口醤油の日など、三ヶ日は毎日違うお雑煮を食べています。

富山県富山市

木村美絵さん

甘海老は必須。具沢山。醤油のすまし仕立てのお雑煮です。

石川県金沢市

堀 友宣さん

すまし汁で煮た餅にセリとかつお節を添えるのみのシンプルさが特徴です。

静岡県袋井市

Asさん

実家が岡山で、育った家のお雑煮が焼いたブリを入れていたのでそのままつくっています。

愛知県知多市

竹内幸彦さん

具は、角餅、白菜、ほうれん草、小松菜、きのこ類、かまぼこです。

和歌山県和歌山市

粂 浩子さん

野菜は自家栽培、白みそ、お餅も自家製です。秋から準備をし、年末にお餅つきをしてお正月を迎えます。

東京都

渡邊かおるさん

両親の故郷である香川県の「あんこ入りの白味噌仕立てのお雑煮」です。「家族仲良く円満で」の願いを込めて野菜は丸く輪切りに。年末に祖父の家に近所の親戚が集まり、わいわいと餅つきした後に、餅を丸める風習が楽しみでした。

愛媛県今治市(旧・朝倉村)

山本雅子さん

瀬戸内の野菜や魚介類と昆布でだしを取り、松山あげでコクを出しています。

福岡県朝倉郡

yumikovegefrulifeさん

秋月 池田屋の「蒸し雑煮」です。卵を使う「茶碗蒸し料理」は貴重であることから、お正月には、「お雑煮」と並ぶごちそうでした。いつしかこの2つが合わさってより贅沢な「蒸し雑煮」が生まれました。

長崎県

浅田ゆかりさん

今年つくった具沢山の慶事雑煮です。具材は、唐人菜、人参、大根、干し椎茸、ゆり根、銀杏、結び三つ葉、鶏肉、ブリ、かまぼこ(紅白)など、すべて1つづつ。慶事ですので奇数個となります。

沖縄県うるま市

せっちゃんさん

沖縄伝統野菜と豚ソーキ(あばら骨付き肉)が入っています。

まとめ

回答書には多くの方が「うちは特徴のないお雑煮で」とコメントされていましたが
全体を俯瞰してみると、家ごとのお雑煮の魅力がじんわりと浮き上がってきました。
令和時代の「わが家のお雑煮」は、それぞれの家で習合しカスタマイズされ、
地域の枠を超えて、ハイブリットな進化を遂げているようです。

最後に、調査にご協力くださったみなさまに心より感謝申し上げます。

取材・文

 : 

タナカトウコ(野菜ソムリエプロ)